東京地方裁判所 平成3年(行ウ)162号 判決 1992年1月29日
主文
一、原告の請求を棄却する。
二、訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
一、本件訴えは、被告が平成二年三月二三日付けで小澤美惠子の相続人である原告に対してした右美惠子の昭和六三年分の所得税の還付金の充当処分の取消しを求めるというものであり、原告は、右処分の取消しを求める理由として、右美惠子に対する所得税の更正処分には推計によって課税をする理由がないのに推計によって課税をしたという重大かつ明白な瑕疵があり、右更正処分が無効であるから、右還付金の充当処分も違法になるものと主張している。
二、しかし、乙二号証及び同三号証によれば、右の更正に際しては、右美惠子が調査担当者に対して帳簿資料等を提示せず、調査への協力要請を拒否したため、やむを得ず推計による課税が行われたことが認められる。そうすると、右更正処分が無効なものとは認められず、また、所得税の更正処分とその所得税の還付金の充当処分とは、それぞれ別個の法律効果の発生を目的とする別個独立の行為であるから、右更正処分が無効なものと認められない以上、仮に右更正処分に違法な点があったとしても、これによって右充当処分が違法となるものでないことは明らかなものといわなければならない。
したがって、本件還付金の充当処分の取消しを求める原告の本訴請求は、理由がないこととなる。